ヒト幹細胞コスメの効果

化粧品成分の機能性はどんどん進化しており、なかでも、再生医療でも使われているヒト幹細胞の培養液である幹細胞コスメは、美容マニアの間でも話題のエイジングケア化粧品です。そこで、今回は、ヒト幹細胞コスメの効果についてご紹介します。

化粧品に使われるヒト幹細胞培養液とは?

医療や美容において最もよく使われるヒト由来の幹細胞は、ヒトの皮下脂肪から採取した脂肪由来の幹細胞で、化粧品に使われるのは幹細胞そのものではなく培養液です。また、臍帯血を培養したヒト臍帯血幹細胞培養液が化粧品に使われることもあります。さらに、2021年にはiPS細胞由来の培養液のコスメも登場しています。

人間の細胞の表面には、その特定の機能をスタートさせるレセプターというカギ穴のようなものがあります。ヒト幹細胞培養液には、その穴に合致するカギになる成分の成長因子や活性物質が豊富に含まれ、細胞が活性化することで効果を発揮すると考えられています。

ヒト幹細胞コスメには使われる培養液には、アミノ酸やたんぱく質、糖質、脂質に加えてEGF、FGF、VEGF、HGF、IGF、アディポネクチンなど多くの成長因子が含まれています。

EGFには、表皮の細胞を生み出し、肌のツヤや肌理を整えるはたらきがあります。また、シワを予防・改善することで肌のハリをキープしたり、傷を早く回復させるはたらきもあります。
FGFには、真皮にある線維芽細胞を増やすはたらきがあります。また、血管内皮細胞を増やして血管をつくるのを助けたり、皮膚組織の修復や神経保護をサポートしたりします。
TGF-αは、コラーゲンやエラスチンの構造を強くして、肌の弾力を高めます。また、新生細胞を生み出しシワを予防・改善したり、傷を早く回復させるはたらきもあります。
IGF-1は、新生細胞を生み出しシワを予防・改善したり、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を増やします。また、毛根を刺激し毛髪を強くするはたらきや、無駄な脂肪を燃焼させる効果もあります。
VEGFには、新生細胞を生み出しシワを予防・改善したり、血管内皮細胞を形成するはたらきがあります。また、毛根に栄養を運び、発毛を促進します。
PDGFには、損傷を受けた皮膚細胞を修復するはたらきがあります。また、コラーゲンの合成を促進し、シワを改善したり、育毛を促進したりします。

ヒト幹細胞培養液に期待できる肌悩みへの効果

ヒト幹細胞培養液には、アミノ酸や糖質、脂質が含まれているので、保湿効果が期待でき、乾燥肌対策にも使えます。

それに加えて、成長因子やサイトカインによる効果も期待できます。

ターンオーバーは、加齢、ストレスや睡眠不足により乱れたり、遅くなっていきます。その結果、乾燥肌や肌のゴワつきやザラつきがでたり、メラニンが排出されずにシミや顔のくすみが目立ったり、毛穴の悩みや角栓なども目立ちます。ヒト幹細胞コスメの成分である培養液は、ターンオーバーのサイクルを正常化するはたらきがあるので、これらの肌悩みのケアに効果が期待できます。

しわや顔のたるみは、乾燥、紫外線によるコラーゲンやエラスチンなどのダメージ、加齢によるエストロゲンの減少で真皮が弱くなってしまうことなどでできてしまいます。

ヒト幹細胞培養液は、成長因子によって細胞を活性化することで、コラーゲンやエラスチンの産生をサポートするので、これらのエイジングサインに対して、予防美容的な効果が期待できます。ほかにも目の下のたるみ、目の下のくま、たるみ毛穴などにも予防的に使うことができますが、皮下脂肪や表情筋などが原因の顔のたるみやしわ、ほうれい線を消すことはできません。

さらに、ヒト幹細胞培養液には、皮膚のダメージを防いだり、炎症を鎮めるはたらきがあるので、紫外線のアフターケアにも使えます。

まとめ

ヒト幹細胞コスメは、さまざまな成長因子が含まれており、肌再生や細胞の活性化が期待できるので、エイジングサインの予防美容が可能です。ヒト幹細胞コスメの効果や限界をよく理解し、エイジングケアに活用しましょう。